ゆっくりと深い呼吸では心が落ち着き、浅くて速い呼吸では心が緊張すると聞いたことはあるでしょうか。これには自律神経が関与しております。ゆっくりと深い呼吸は副交感神経の活動を高めて、心理的な緊張を緩めます。一方で浅くて速い呼吸は交感神経を刺激して緊張を高めます(図1)。
図1:自律神経と心身の反応
ゆっくりと深い呼吸をするためには腹式呼吸が良い、と聞いたこともあるかもしれません。腹式呼吸は横隔膜を大きく動かすことで、より多くの空気を取り込むことができ、息を長く吐くことで副交感神経が優位に働きます。
ただし、より深い呼吸を促すためには肺を囲っている胸郭※を広げる必要があります。図2を見ていただくと肺が胸郭に収められているのがわかるかと思いますが、肺を大きく膨らませようとすれば、同時に胸郭も広げなければなりません。実は、胸郭は関節(肋椎関節や椎間関節など)で連結されており、胸郭の動きを高めることができるのです。
※胸郭は肋骨や背骨(胸椎)などで構成される骨格部分
図2:肺(灰色部分)とそれを囲む胸郭(青色カッコ部分)
また胸郭の動きは呼吸に影響するだけでなく肩や腰の動きにも関連しています。すなわち、胸郭の可動域が低下すると腰や肩に負担がかかり、それによって痛みを引き起こすことが指摘されています。逆に言いますと腰の辛さや肩こりがある方は胸郭をストレッチすることで楽になる場合もあります。
当サロンでは胸郭の動きをサポートし、深い呼吸を導くことで心身のコンディション作りに貢献いたします。皆様のご来店をお待ちしております。
参考資料)
・笠舛拓也、西良浩一(2024)「アスリートの腰痛を胸郭からみる-joint by joint Theoryに基づく評価と治療」Journal of Spine Research 15(6): 860-868
・浜田純一郎、立原久義(2022)「肩関節疾患と投球障害肩に対する胸郭からのアプローチ」臨床スポーツ医学 39(10): 1056-1060
・佐野裕子(2024)「呼吸介助(法)実施における要点」日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 32(3): 296- 300